酩酊シャウト

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 三木の家から私の家まではそう遠くない。この坂を下ってしまえば、すぐ私の家だ。二人の時間は終わる。特別な思いを抱くこともなく、「また明日学校で」と手をふっておしまいだ。それが、ただの腐れ縁の関係。  きっと、「このまま」がいい。 「だからさ、俺は大事なことは絶叫しようって思うんだ」 「やめてよ、近所迷惑だから。少なくとも私が隣にいるときはしないでよね」 「えー」  子供じみた返事も。思春期らしからぬ素直な感情表現も。別に今までと何も変わらない。そこに特別を見いだす余地はない。三木はそういう男だ。  でも。  いつから私たちは、互いを名前で呼ばなくなったのか? 「じゃあ、ここで。あとは坂下るだけだから」 「おう。またな、水瀬」  少し傾斜のある坂。ここがいつもの分岐点。私はいつも通り別れを告げて、三木もひらひらと手をふる。何てことはない。いつも繰り広げられる光景。これこそが、私の望む「変わらない関係」のはずだ。
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