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彼の見た目は生真面目そのもの…
しっかりした国産の紺色なスーツを生真面目に着せたかのようであった。
黒ぶちの眼鏡、銀色のネクタイ、水色のワイシャツ、紺色のスーツ、黒い革靴…
見事なくらいの生真面目ルックだ。
対する弟の誠次は…
細身なサングラス、金のネックレス、ヴィンテージのアロハシャツ、ラブ&ピースと書かれたダボダボなTシャツ、腰履きされたヴィンテージのダメージジーンズ、エアマックス…
不真面目とはなんなのかを体現する…
不真面目ルックそのものだった。
これらのアイテムひとつひとつが不真面目というわけではないのは言うまでも無いことなのだが…
そうしてしきりにカリスマ美容師にセットさせた髪型を常に気にしていじくりまわす様子はナルシストさをも醸し出していた。
人垣を窮屈そうにして、かきわけるように歩く。
「いやぁ面白いなぁ♪兄さん…居酒屋、初めてみたいでしたね、アハハ♪」
誠次は笑う…
「な…笑うなよ、酒は苦手なんだ…まぁお父さんに誘われた大切な席ではたしなむくらいには飲めるさ…」
誠一郎は苦笑いするのが精一杯だった。
「バブルかぶれな父さん御自慢のクルージングパーティーかな…あはは♪大変だね、兄さんみたいな人気者は!!そうそう、そんなことより二次会で知り合いのバーも良かったんだけど…どうせなら…ねぇ…どうせなら…あはは♪あっちの初めても経験してみましょ~うか、兄さんッ♪」
誠次は怪しい笑い声をあげた。
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