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ゴールは目前に迫っていた。
しかし、突然足を止める高橋。
「どうした?」
「佐藤リーダー……私は……先輩達の犠牲を払ってまで、勝利を掴みたくありません」
目に涙を浮かべ、唇を噛みしめる。
純粋なのだろう。どうしても自分だけゴールするのに、納得がいかないらしい。
それを見た佐藤はクスクスと笑った。
「何がおかしいのですか!?」
「お前は分かっていない。あいつらの底力をな……あれを見ろ!」
佐藤が指差す先には、傷だらけの山田、ずぶ濡れの鈴木、何故か服が乾いている田中が立っている。
「待たせたな」
「さあ、行こうぜ」
「男が泣くなんて、情けないわよ」
信じられない。でも、確かに先輩がいる。
「……はい!」
高橋は最高の笑顔で、信頼する先輩とゴールした。
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