チェックポイント②

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 一つ目のチェックポイントを通過し、走り続けるチーム・メガネは池に辿り着いた。  池のすぐ上には、三本の吊り橋が架かっている。  一つ目は大きく安定した吊り橋。  女子社員の多くが、おしゃべりをしながら渡っている。手を伸ばせば池の水に触れる事もでき、「冷たいねっ」と、はしゃぐ姿が楽しそうだ。  二つ目は普通の吊り橋。  賞金を狙う、勇気ある社員が駆け足で渡っている。  三つ目は人がギリギリ通れる狭さの吊り橋。  ゆっくりと慎重に歩を進める人がいるようだ。 「逆転できるチャンスですね」 「鈴木、何か考えがあるのか?」  鈴木のメガネがキラリと光る。 「狭い吊り橋を見て下さい。他は人で埋まっていますが、あそこは一人だけです」 「そうだな。だが、その一人が道を塞いでいるぞ?」 「私の華麗な動きでかわし、そのままゴールして見せましょう。……高橋、勝率を計算して述べてみろ」 「お任せ下さい。先輩の勝率は……出ました。127%です」  ククッと笑い、鈴木は眼鏡を人差し指でクイッと上げる。 「100%の勝利は当たり前。残りの27%の奇跡をお見せしよう」  鈴木は走り出す。  そして、あっという間に前方の人物へと追いついた。 「邪魔だ!」  スピードを緩めずジャンプし、前にいる人物の頭に手を置いて、飛び越えようとする。  その人物は、カツラの伊藤課長だった。  カツラがずれてバランスを崩し、カツラと共に池へダイブする鈴木。 「鈴木―――!」  佐藤の声が響き渡る。  その声が届いたのか、鈴木は必死に泳いで橋へと手を掛けた。 「まだだ! まだ、沈むわけには……」  それを見下す伊藤課長。 「最近は真面目に働いていると感心していたが……次のボーナス査定、楽しみにしていたまえ」 「ぐはっ!」  課長のカツラを握りしめ、鈴木は池の底へと沈んで行った。 「先輩!?」  助けようと動く高橋を、佐藤が無理やり引き留めた。 「あいつは助けを求めるような男か!?」 「はっ! ……そうだ。鈴木先輩なら、自分が犠牲になっても仲間を前へ進めるはず……」 「あいつは不死鳥だ。必ず蘇って、私達の下へ駆けつけるだろう」  佐藤達は鈴木の復活を願い敬礼する。 「鈴木……またな」  そして、一番大きな橋を普通に進んだ。
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