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けたたましいラッパの音で俺は意識を取り戻した。
目を開け周りを見渡す。
「此処、何処だ?」
目を開け周りを見渡した俺の目に映ったのは、眩しい程の光に包まれた広い空間だった。
目の上に手を翳し眩しい光を遮り、もう一度周りを見渡す、と、此方へ走り寄って来る女性が見える。
その女性は俺の前に滑り込むようにして止まり、話しかけて来た。
「おめでとうございます。
あなたは前世の記憶を持ったまま転生できる権利を得ました」
「前世? 前世って言うことは、俺、死んだの?」
「はい、そうです。
死んだ記憶はございませんか?」
「え!?
チョ、チョット待って」
俺は記憶を探る。
あ! そうだ。
車を運転中、右側から突然車の前を横切ったカラスに驚いて急ハンドルを切り、ガードレールを突き破り海に転落したんだった。
そっか…………あれで死んだのか…………当然だよな、極寒の冬の海に落ちたら数分で死んじまうよな。
「思い出されたようですね」
俺は首を小刻みに上下させながら答えた。
「ああ……思い出した。
俺、死んだんだな…………
そう言えばさっき、前世の記憶を持ったまま転生できる権利、って言っていたけど、何それ?」
「それはですね。
今までの記憶を持ったまま生まれ変わることが出来る権利です。
生まれ変わった時、今までの経験や知識を役立てる事が出来るのです」
「フーン」
「ま、この権利は結構当たる確率が高いですけど」
「え!?どういう事?」
女性はその問いに答えず俺に手を振る、その途端俺はまた意識を失った。
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