第1章

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けたたましい騒音で俺は目を覚ました。 目を開け周りを見渡す。 あれ? 此処、何時だったか見たことがあるな? 眩しい程の光に包まれた広い空間を見渡しながら、朧に頭に浮かんだ記憶を探る。 首を傾げながら記憶を探っている俺の前に、これまた見覚えのある女性が滑り込んで来た。 「おめでとうございます。 あなたは前世の記憶を持ったまま転生できる権利を得ました」 その言葉で俺はこの空間とこの女性の事を思い出す。 「前世の記憶を持ってても、使う機会なんて無かったぞ!」 「へ? お会いした事ありましたっけ?」 「ああ! 今度こそ詳しく教えろ!!」 「ええっと…………」 「前世の記憶を持ったまま生まれ変われると聞いて、転生を心待ちにしていたのに、生まれ変わったのが何かの菌だぞ、菌! 細胞分裂で仲間を増やす菌だ! どうやって知識を生かせって言うんだ!? その次も菌、その次の次も菌、次の次の次の次も菌、2~300回菌に生まれ変わり続けた後、生まれ変わったのがネズミだ! 産まれて3日程経ったとき巣穴に侵入してきた頭が10もある蛇に、一緒に産まれた兄弟や母ネズミと共に丸呑みにされたんだ! 何処で前世の記憶を生かせって言うんだよ!?」 「それは…………あたしのせいでは無く、あなたの運が悪かっただけ……ですから…………」 「どういう事だ――!」 「あなたが最初に此処で目覚めた時の前世に、パチスロっていう遊技機がありましたよね?」 「ああ、あったな」 「それと同じなのです」 「え?」
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