高羽のアイドル

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 あなたたちはそんなんで本当にいいの?  そう言いたくなる。ファンクラブなどいらない。学校のアイドルとなっているが、本来大人しくしてるほうが好きである。冷ややかに対応しているつもりなのだが、ファンクラブの男子生徒たちには通じない。  逆にファンクラブの男子生徒たちはそこがいいのだが、花梨は気付いていないのである。  遠巻きに見ている生徒も一人や二人ではない。本当は目立つのは嫌いだ。だから、モデルにならないかとスカウトされても断った。  そのことが既に伝説なのだが、花梨は無自覚である。  わたしって罪な薔薇ね……  そんなことすら思った。口に出したら、まず反感を買うような言葉だが、それだけ美しいからしかたない。  校舎に入り、下駄箱に靴をしまう。  それだけのことなのに、ファンクラブの男子生徒たちは熱に浮かされたような瞳で花梨を見ているのだ。  ラブレターが数枚入っている。これもいつものことだ。  せっかく自分のことが好きで書いてくれたラブレター。無下にはできない。しかたなく持ち帰るのだ。  こんな学園生活……退屈で飽き飽きとしていた。  卒業するまで、こんな感じなのかなー。  花梨はため息をついて教室に向かった。
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