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「…図星かよ。ホントろくでもねぇ大人だな。目障りだから、さっさとどっか行ってくれない?」
綺麗な人が怒るとこんな怖いんだ…。
ドスを効かした言葉でそう言われた小山は、私のことなんかすっかり忘れたのか、こちらを見ずに走り去ってしまった。
「…ホントサイテーな男ね」
小山の後ろ姿を見て、そう呟いたお姉さんは今度はちらっと私を見て、
「奥に詰めてくんない??」
「は、はいっ」
指示通り奥に詰めて座った私の横に乗り込み、タクシーのおじさんに「ミリオンまで」と簡潔に伝え、車が走り出したのを確認すると、そのまま目を瞑ってしまった。
「…………」
えっと、私は…?
母の男に付いていくのもどうかと思うけど、見ず知らずの女の人に付いていく…連れ去られる?のもどうなのか?
入口側はお姉さんが寝ていて出られないし、…まぁ出ていった所で行くところがないのは一緒か。
それなら、一応小山から助けてくれたこのお姉さんに付いていく方が、幾分かマシな気がしてきた。
「ふぅ…」
こそっと一息吐いて、改めて横のお姉さんをそっと見つめると、芸能人顔負けな綺麗さに驚く。
睫毛は恐らく地毛で長く、唇もぷっくりと小さく薄ピンクで…、シャープな眉と目尻、顔のラインが可愛い系というより綺麗系に見せていた。
そして、私の見当違いでなければ、この人が着ているパーティドレスやきらびやかな装飾品、綺麗にアップされた黒髪は恐らく………
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