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うん。夜のお仕事してるみたい。
きらびやかなネオンが輝く看板の前に止まったタクシー。
「ちょっとここで待ってて」
目的地に到着したと同時に、その大きな瞳をぱちっと開けたお姉さんは、私にそう一言言い残すと、迷うことなくタクシーを出て、店内へと入った。
それから十分も待たなかったと思うけど、お姉さんは紙袋を一つ手にして、上品な女性と共にタクシーへと戻ってきた。
「…じゃあ、ママ。そういうことだから、今日はごめんなさいね?」
「いいわよ。メグミちゃんこそ気を付けてね」
「ありがとう。また明日」
「ええ、また明日よろしくね」
再び走り出したタクシーは10分ほどで、小綺麗なマンションに到着した。
「降りて」
「あ、はい!」
私が着いてきていることを時折ちらりと確認しながら前を歩くお姉さん。
「あんたさぁ、…行くとこないなら、ここに泊まればいいよ」
「え?…いいんですか?」
「だって、あんた、なんか危なっかしいし。またさっきみたいな奴に引っ掛かったら、もう助けてあげらんないからね」
そう言って、優しく微笑んでくれるお姉さん。
…な、なんていい人!
「あ、ありがとうございます…」
「うん。まぁこれも何かの縁なんでしょ」
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