ep1.不実な恋を。

12/13
前へ
/23ページ
次へ
「とりあえず、そこのソファに座ってて。お茶淹れるし。それか何か食べる?」 「お、お気遣いなく!!お腹も減ってませんのでっ」 「子どもが遠慮しないの。おにぎりくらいなら、すぐ作ってあげる」 私って料理苦手だから期待しないでね?と苦笑いしながら、キッチンに立つお姉さんをただひたすら見守る。 特にすることがなかったからなんだけど…。 「…そんなジロジロ見られると、余計緊張するんだけど」 「あ、すみません!!」 「手持ちぶさたなら、お茶運んでくれる??」 「はいっ」 お姉さんを手伝い、お茶とおにぎりを目の前にし、やっと二人してソファに腰掛ける。 「冷めちゃう前に食べな?」 「あ、はい。…いただきます」 ふっくらと握られたおにぎりは、いい感じに塩がきいてて美味しかった。 「美味しいです…」 ほんと誰かの手料理なんて、いつぶりだろう…。 むしろ、誰かと一緒にご飯を食べるのも久しぶりだ…。 「…あのさ、食べながらでもいいから、話せるなら事情話してくれる?…もしかしたら、力になれるかもしれないし」 「え?」 「嫌なら仕方がないけど、ここまで連れて来ちゃった訳だし、…まぁ乗り掛かった船って言うの?なんか助けになるなら、手伝うよ?」 人懐っこい笑顔を浮かべるお姉さんの言葉は、今の弱っている私の涙腺を意図も容易く崩壊させて… 「うっ、ううっ」 「何々!?私、うざかった!?」 お姉さんを困らせる結果となった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加