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「とりあえず、そこのソファに座ってて。お茶淹れるし。それか何か食べる?」
「お、お気遣いなく!!お腹も減ってませんのでっ」
「子どもが遠慮しないの。おにぎりくらいなら、すぐ作ってあげる」
私って料理苦手だから期待しないでね?と苦笑いしながら、キッチンに立つお姉さんをただひたすら見守る。
特にすることがなかったからなんだけど…。
「…そんなジロジロ見られると、余計緊張するんだけど」
「あ、すみません!!」
「手持ちぶさたなら、お茶運んでくれる??」
「はいっ」
お姉さんを手伝い、お茶とおにぎりを目の前にし、やっと二人してソファに腰掛ける。
「冷めちゃう前に食べな?」
「あ、はい。…いただきます」
ふっくらと握られたおにぎりは、いい感じに塩がきいてて美味しかった。
「美味しいです…」
ほんと誰かの手料理なんて、いつぶりだろう…。
むしろ、誰かと一緒にご飯を食べるのも久しぶりだ…。
「…あのさ、食べながらでもいいから、話せるなら事情話してくれる?…もしかしたら、力になれるかもしれないし」
「え?」
「嫌なら仕方がないけど、ここまで連れて来ちゃった訳だし、…まぁ乗り掛かった船って言うの?なんか助けになるなら、手伝うよ?」
人懐っこい笑顔を浮かべるお姉さんの言葉は、今の弱っている私の涙腺を意図も容易く崩壊させて…
「うっ、ううっ」
「何々!?私、うざかった!?」
お姉さんを困らせる結果となった。
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