ep1.不実な恋を。

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温かい家庭なんて、ずっと知らなかった。 「…ただいま」 家に帰った時、いつの頃からか父の怒鳴り声、母のヒステリックな喚き声が私にとっての「おかえり」になっていた。 そして、確か小学生の…高学年の頃だったと思う。 その頃から両親の関係は修復不可能となり、中学に入る頃には離婚。 どちらについていきたいか訊かれることなく、私は母に連れられ、仲良しだった友達、生まれ故郷に別れを告げた。 母は私の親権が欲しかったから、私を引き取った訳ではなく、慰謝料と教育費欲しさに、私を引き取っただけ。 父も離婚する前には、既に良い人がいたようで、要は私のような子持ちでは何かと都合が悪かったらしい。 …母は元々過保護に育てられ、かつ結婚してからずっと専業主婦一本だったからか、どこも長く働き続けることが出来ず、数年経った頃には男の人に助けてもらいながら生活するようになった。 助けてくれる男の人…こう言えば聞こえがいいが、そんなボランティア精神に満ち溢れた人なんている訳もなく……… つまり、母は身体を売って、暮らし始めたのです。
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