キミを捕まえる

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いた! なんか、茶色い瓶から透明な瓶に液体を移してる。 マスクしててもわかる、あいつはキミだ。 こっち向け! 入り口の小窓から、念力を送ってみる。 が、届かず。 俺が何度も念力を送っても、キミは、茶色い瓶の方に集中している。 「お薬待ってるんですか?」 俺があまりにも薬局の前を動かないからだろう、通りがかりの職員に声をかけられた。 若い女の子が、カルテらしきものを抱えて、こちらを伺っている。 やべ! えっと、なんて答えよう? 「あっ、と…薬剤師の佐藤さん?ですよね、あれ。いや、俺、同級生で…たまたま見かけたんで、そっかなー、って思って…」 中を指差して、たまたま見かけた風を装う。 うそはついていない。
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