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妖怪を避けられるように、柊平は京介(きょうすけ)から日常の中で訓練されている。 それは、対抗する(すべ)を持たない柊平を守りたい親心からだ。 ところが、撫で斬りが柊平を選んでしまったことで、柊平は急に真逆のことをしなければならなくなった。 「柊平、その感じが付喪神だよ」 壮大朗が寝込んでいるため、夜魅は柊平にその真逆のことというのを教える役目担っている。 撫で斬りを引き継いだ今、もはや避けては通れない。 正直なところ、撫で斬りを次に受け継ぐと思われていた京介が日常的に仕込んだことをひっくり返すのは、もっと骨が折れると夜魅は思っていた。 しかし、柊平は案外すんなりと馴染んでいく。 血筋のせいか、素質のせいか。 この短期間で気配を見分けるようになったのは、流石としか言いようがない。 「夜魅、入ってもいいのか?」 柊平をじっと見る夜魅に、柊平は不思議そうな顔で訊く。 「入れないと思うよ」 「?」 「入口を触ってみてよ。引きこもりだって言ってるだろ」 柊平は襖を開けた空間に手を伸ばした。 「っ!」 青白い光が発散し、何もない空間が柊平の手を弾く。 強烈な静電気に触ったように指先が痺れた。
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