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遊びの誘いを断るとは。
まあ、珍しい事ではあるが、たまにはこういう事があっても不思議ではない。
オレは垂れたシッポを無理やり奮い立たせて、次に原っぱ公園へと向かった。
「……あ、やっぱり居たニャ♪」
いつもの原っぱ公園に行けば、誰かしら友達に会えると踏んでいた。今日もオレの推理は冴えわたっている。
「ニャニャーン♪ チョメさーん、わたあめ姫ー。五丁目のコンビニに面白いインコの店員が居るんニャ。見に行かニャいかー?」
チョメさんはアクトーのミドリガメ。わたあめ姫はかわゆしな雨の精霊。二人とも仲良しの友ニャのだ。
「チョメ? 何を言ってるヌコリン、インコと言えば刑事だろう。そんなワケで今日はオイラ、忙しいから遊ばないチョメよ」
「……は?」
「わたしも今日は魔法の傘を忘れちゃったふわー。アレがないと雨が足りなくて、わたしはすぐ消えちゃうから遊べないのですふわー」
「魔法の傘って……、その腕に引っかかってる傘はニャに……」
「これはチョコレートですふわー」
傘のチョコって……今でもまだあるんだニャ……。
そうしてわたあめ姫はフワーッと消えてしまい、チョメさんもシュタタタと逃げるように去っていってしまった。
(……まあ、こういう日もあるニャ……)
オレはまたもや地面に着きそうになるシッポをあえてピン!と立てて、五丁目のコンビニへと向かった。
このアンニュイなキモチを、きっとあのインコは慰めてくれるだろう……。
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