六人目(1)

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 人気のない通りに、ヒールの音が響く。  不安が、更に仮説を生んでいた。この辺りで出没するという、『サキちゃん』と呼ばれる切り裂き魔のことだ。 「あの猫も、『サキちゃん』の仕業だったりして……」  そう思ってしまったのは、その死骸が、試し斬りの犠牲のようだったからだ。凛は、不安になり、つい振り返ってしまった。 「金曜の夜に、被害者が出るんだったっけ」と、『サキちゃん』の情報を頭の中から取り出す。 「今日は、金曜日だ……」  そう思い出すことで、更に不安が増してしまった。  一定の間隔で備え付けられている電灯が、通りを点々と照らしている。凛の他に、人の姿はなかった。 「きっと、大丈夫だよね。大丈夫、大丈夫」と、呪文のように繰り返してしまう。
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