弓道女子とストーカー(1)

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「やっぱり、気のせいだったのかな」と、更衣室に向かうことにする。  昨日、ホットストリートやよいの近くで、『サキちゃん』の犯行現場に接近した所為かもしれない。 「まったく。ワカちゃんの趣味には、困ったもんだよ」と、呟きながら更衣室の扉の前に立つ。  誰も居ないとは分かっていたけれど、ノックして扉を開けた。 「失礼します」  中には、予想通り誰も居ない。焦る必要はないのに、早々に着替えを済ませる。  休日だったけれど、学校には制服で来ていた。束ねていた髪をといて、頭を左右に振る。長い黒髪が、ゆらゆら揺れた。鞄を持つと、足早に更衣室をあとにする。  建物から出た瞬間、双眸を蹙めた。日差しが強さを増したようだ。
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