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探偵ごっこ(1)
「『サキちゃん』が切り裂くとしたら、やっぱり脇腹だと思うな」
プラスチック製の白い椅子に腰掛けている桜井浮羽が、そう言いながら細い脚を組みかえる。
黒いニーハイソックスで太ももの中間まで隠れている脚は形がよかった。
「どうして脇腹だと思うの?」
「そりゃあ、脇腹って骨が薄っすらと見える皮の厚みがなんとも絶妙でしょ? 痛いだろうなあ……。絆創膏では治らない。それなのにワカちゃんは『サキちゃん』に会いたいんだ?」
と、浮羽がつづける。
皮の厚みが絶妙というのは斬新な言葉だ。僕はそう思いつつ、浮羽を観察した。
白いテーブルに頬杖をついて頬をふくらませている。肌の色も透き通るように白い。それは小ぶりな花のようだ。
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