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足元に視線を移動させる。凛の視界には、自分の足の他に、誰かの足があった。
綺麗な、細い足首だ。女性物の靴を履いている。ヒールも高い。
「ほっそいなあ……」と、暢気にも見惚れてしまう。こういう人が、異性にもてるんだろうな、と。
後ろに立つ人物は、スカートを穿いていた。小刻みに、その布が揺れている。それはヒラヒラと、金魚の尾のようだった。
「背中から、何かが、生えているみたい……」
その違和感に、血液が集中していく。決して、翼が生えたわけではない。その心地悪さが、凛の動きを完全に止めてしまった。
躰から、何かが漏れているのが分かる。その疼痛には、快楽が含まれていた。同時に、別の『何か』が流れ込んでくる。……ああ、これは悪意だ、と凛は理解してしまった。
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