六人目(1)

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 アルコールの影響を忘れてしまうほどに慌てた中年男性は、携帯電話で救急車を呼んだ。  救急車が到着したのは、電話をかけてから五分後の事だ。消防署が近かった事が、幸いした。  救急隊員が、凛の応急処置を的確に終えて、担架に乗せて救急車に運んだ。  出血の量は、道路に血だまりが出来るほど、多かった。だが、幸運にも急所は外れていた。救急隊員の問いかけにも、凛が僅かに応えたという。  凛を乗せた救急車は、別府市内にある麓病院に向かった。  ……その決断が、後に、凛の命を奪うことになる。
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