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競技として参加し、そこで生まれる点数に、浮羽は、全く興味がなかった。
壁に掛けられたデジタル時計を確認する。
「この場所には、アナログな丸い時計の方が似合うと思うんだけれど」と、独り言を言いながら、肩の力を抜いた。
正午に近い。今日はこのぐらいにしておくかな、と弓道場に一礼して、後にする。
土曜日と日曜日は、自主練習の日にあてられていた。弓道場に居る部活生も、疎らだ。
浮羽は、その足で部室に戻り、そそくさと、弓道衣から制服に着替え始めた。頭の後ろで束ねていた黒髪をといて、髪に櫛を通した。艶やかな髪に、蛍光灯の光が反射する。
個人ごとに用意されているスチール製の縦長いロッカーに、着替え終わった弓道衣を仕舞う。
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