探偵ごっこ(2)

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 どこか煮え切らない様子のワカちゃんに、「そんなの、行ってみないと分からないよ」と、浮羽は口を尖らせていた。 「それは、そうだけれど。なんだろう、何となくね……」  ワカちゃんがそう言いながら、書店の入り口の方を見つめていた。 「別府駅までは、バスで行けるんだから、そんなに面倒でもないでしょ?」と、浮羽。「本を読んでも、事件は解決しないんだから。ここに、『サキちゃん』は居ないでしょ?」  それに対して、「うーん」と、唸るだけで、ワカちゃんからは、動こうとする意志を感じない。  まったく世話が焼けるなあ、と浮羽はぼやきながらも、「ほら、いくよ」と、ワカちゃんの手を握っていた。  細く長い指が、どこか繊細で、知性を感じさせる。
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