探偵ごっこ(1)

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 夜になれば、色とりどりのネオンが、虹のようにカラフルな湯煙を演出してくれる。  そんな観光地で、別府駅前通りに面している、『AppLicaTion(アプリケーション)』という名前のオープンカフェに、僕らは居た。  別府駅前通りは、北浜交差点で国道十号線と交わる主要な通りだ。  晴天が、オープンカフェのテラスに日差しを注いでいる。 「うーん、光が柔らかいね。ぽかぽかする」  そんな浮羽の表現が、よく似合っていた。 「確かに……。先週、残暑の厳しさに辟易していたことが、嘘のようだ」  二人の子供を連れた女性がその通りをあるき、僕の視界を横切っていく。 「幼稚園児ぐらいかな?」と、僕。 「あの男の子と女の子? 背格好も似ているね、双子なのかもしれないね」
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