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「まったく、こんなに冷たくなっちゃって……」
長くこの書店に居た所為なのか、待っていたんだな、と口角が自然と上がった。
「やれやれ仕方がない」と、小さな声で言いながら、ワカちゃんがついて来る。
書店の出入り口に近づいた所で、立ち止まる。自動ドアが開いた。熱い風が、店内に吹き込んでくる。浮羽の長い黒髪が、その風に揺れた。
ワカちゃんが、引っ張られていた手に一瞬だけ力を込める。「なんだかさ」と、口を開いていた。「嫌な予感がするんだよ」
「気のせい、気のせい」と、浮羽は応えていた。
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