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そこには、一枚の書道用紙を貼っていた。
それは、店に入った瞬間に、視界に入る為の考慮だった。色が褪せた紙だ。そこに書かれた文字は、黒々とし、躍動しているようだった。
【万引きは葬る!】
その荒々しい筆跡は、堂本のものだ。
それを貼った時のことを、堂本は、苦々しく思い出す。
当時の堂本書店では、万引きが絶えなかった。この調子で万引きが続けば、経営が傾くかもしれない。本気で、そう心配するほどだった。
それは、大分県北部にある、高等学校に隣接したコンビニエンストストアが、万引きが原因で潰れたという噂を、耳にした所為かもしれない。
堂本一人で店を切り盛りするのでは、店内を監視することが困難で、店内の角に鏡を設置したが、不発に終わった。
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