サキちゃん(1)

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 ……沈黙するパチンコ台に、視線が戻っていた。 「ふう、もう飽きちゃった」と、『サキちゃん』は、ため息を漏らす。立ち上がった。  隣の男性が、さも残念そうに視線を向けてくる。視線を合わせて、『サキちゃん』は、黒い手袋をした手のひらを見せた。軽く振る。バイバイ、だ。  自動ドアを抜けた瞬間、夏の名残をまとった空気に、思わず眉間に皺を寄せた。 「さて、犯行現場にでも行ってみようかな」と、呟いていた。
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