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探偵ごっこ(3)
バスの降車口から、桜井浮羽が細い脚をのばす。黒いニーハイソックスは、その細い脚をより引き締めて見せていた。
地面に靴の裏が着いた瞬間、周囲の男性が、一斉にこちらを向く。きっと、天使でも舞い降りたのだと、勘違いしたのだろう。
「視線が集まっている……」と、僕。
その言葉に、「この薄い布地が、男性の幻想を閉じ込めているのだよ」と、浮羽が応えた。
別府駅西口に着いた僕らは、駅の構内を東口へと通り抜けていく。その幅は、数十メートルしかない。
「駅の大きさって、その都市の発展状態に比例するのだろうね」
浮羽が、「この町には、まだ伸び代があるって事なんじゃない?」と、口角をあげた。
油屋熊八の銅像の前で、高らかに唄っている長身の男を尻目にして進む。
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