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僕は、表情を変えずに、「ただの直感」と、応えてみる。
「そういうの、ない? たまたま事件現場に足を踏み入れた主人公が、事件に巻き込まれていく、みたいな」
「まあ、これが、『サキちゃん』の犯行かは分からないんだし」
浮羽が、何故か楽しそうにしている。
「でも、ワカちゃんの直感、意外と当たるからなあ。怖い、怖い」
ホットストリートやよいに続く、細い横道を曲がった。その横道の両脇には、居酒屋が立ち並んでいる。
「この時間帯では、どの店も暖簾を店の中に仕舞い込んでるんだね。きっと、夕方以降の戦いに向けて、力を溜め込んでいるんだよ」
少し進んだところで、浮羽が立ち止まる。
「あらら。こっちも駄目か」と、振り返りながら言った。
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