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眉間に皺を寄せて、とても残念そうだ。「警察官も、抜け目ないなあ」
「まあ、仕事だろうからね」
横道とホットストリートやよいが交差する場所に、警察官が二人。姿勢を正して立っていた。野次馬は居ない。視線だけを、こちらに向けている。
浮羽が、僕の顔を見つめて、軽く微笑んだ。「仕方がない。今日の所は、これくらいで勘弁してやろう」
「そうだね。時には、諦めが早い方が良い。もう帰ろう」と、僕は同意する。
浮羽が、顎を引いた。そのまま、視線を下に向けている。
「でも、残念だったね」と、浮羽が小さな声を出した。
その時、僕は、漸く気がつく事が出来た。
……きっと、浮羽は、僕を喜ばせたかったのだ。だから、無理にでも、連れてきてくれたのだろう。
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