探偵の助手(1)

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探偵の助手(1)

 僕は、別府市立図書館に来ていた。  別府駅前通りからホットストリートやよいを通り抜け、十分間ほど歩いた場所に、別府市立図書館がある。  その図書館は、秋葉通りに面していた。その名が表すように、その通りは、秋になると紅葉で綺麗に色づく。僕は、季節の中で秋が最も好きだ。 「ふうん」  僕は、椅子の背凭れに体重を掛ける。椅子は、クッションが硬く、長時間座るのには適していないように思えた。もしかしたら、本を読ませたくないのかもしれない。 「こんな事が、あったんだ……」  読んでいるのは、過去の新聞だ。この図書館では、過去三年分の新聞を閲覧することができる。  図書館に来たのは、過去の事件を調べるためだった。それが、僕の習慣の一つだ。
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