探偵の助手(1)

2/5
前へ
/346ページ
次へ
 午前九時の開館時間と同時に入館し、約一時間半が経っている。その間、同じ椅子に、座りつづけていた。  僕は、「……ああ、肩が凝ったな」と、視線を天井に向ける。  残念なことに、目を通した記事の中には、切り裂き魔に関するものはなかった。思ったより、切り裂き魔という存在は、世の中では希少な存在らしい。 「まあ、他の収穫があったから、良しとするか」  切り裂き魔とは関係なく、気になった記事の見出しが、二つあった。  一つ目は、今から一年前の事件だ。 『車内に若い男性の遺体』  そんな見出しから始まる事件は、自動車の車内から、若い男性の遺体が発見された事から始まる。その自動車は、別府市にある住宅街の駐車場に停めてあった。  死亡していたのは、十七歳の少年。
/346ページ

最初のコメントを投稿しよう!

265人が本棚に入れています
本棚に追加