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記事によると、その息子である長谷川透が失踪したのは、今から二十年前。失踪当時、透が二十歳の時だった。
国立Ｏ大学工学部に通っていた透は、夏期休暇中にアルバイトに出かけると言って、自宅を出た。
それが、透の姿を確認できた、最後になる。そして、帰宅することはなかった。
当時、透がアルバイトしていたのは、大学のそばにあった、コンビニエンスストアだ。
失踪当日、彼はコンビニエンスストアのシフトには入っていなかった。彼がどこにアルバイトに出かけたのか、本当にアルバイトだったのか、それさえ分かっていない。
「面白そうだけれど、『サキちゃん』とは関係ないからな。暇になった時にでも、また調べれば良いか……」
僕は、新聞紙を畳んだ。
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