2人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「はぁ? 合コン?」
「ちがうちがう、グループデート」
「どう違うのよ? なにそれ、胡散臭いなぁ」
友達の誘いに顔をしかめた。
「違うわよ、全然違う」
「そうそう、リナってば妄想ばっかりして彼氏作ろうとしないじゃん。現実を見た方がいいって」
「現実ねぇ。それに別に妄想してるわけじゃないしね」
そう言いながらため息をついた。
「とにかく来てよね、明日! もともと買い物行く約束してたから大丈夫でしょ?」
「……まあ」
「11時に桃山台動物公園の入り口ね」
「はいはい」
動物園なんてどれくらい行ってないだろうか? そう思いながら苦笑する。
私には、時々見る夢がある。
それを話すと馬鹿げていると笑われるから、もう人には話さなくなった。
その夢は物心ついた頃から見る夢で、いつも肝心な所で目が覚める。
夢というのは、その日の出来事や自分の想像や過去の記憶なんかで構成されているものらしいが、何をとってもその夢を見る要素が全くない。
そして、それは年々鮮明になってくる。
そんなことを誰かに言っても所詮夢だと笑われるのがオチで、作り上げた世界だと言われるわけだ。
ほんの物心ついた子供があの光景を作り出せるのだろうか?
どこで見た記憶なのか?
唯一、昨年亡くなった祖母だけはその夢の話を聞いて笑わず言ってくれた。
「リナちゃん、それはもしかしたら前世の記憶かも知れんね」
「前世?」
「そう、産まれる前の……リナちゃんの前の人生の」
「そんなこと、あるのかなぁ?」
「さあね、ある。と言い切れないように……ない。とも言い切れないからね。この世なんてそんなことばかりだからね」
最初のコメントを投稿しよう!