「またね」

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「容疑者確保!」  その声に、鍵を開け、壊れて動きが鈍くなった扉をゆっくりと開けた。  そこには床に突っ伏した状態で取り押さえられているともくんの姿があった。 「間に合ってよかった! こいつが例のストーカーですね?」 「現行犯だから言い逃れはできないぞ」  二人の警察官は、一人は私に。  もう一人はともくんに向かって言った。 「丁度巡回中に悲鳴が聞こえたので。本当にタイミングが良かった」 「あ、ありがとうございます」  御礼をいうのが精一杯な私を見て、警察官は「今は気持ちが落ち着かないでしょう。あとで迎えをよこしますんで、事情聴取等ご協力をお願いします」と言って、彼を連行していった。  これでまた、平穏な日々が戻る――なんてことはない。  だって、彼。 この部屋から連れていかれる直前に、小さく振り返ってこういったんだもの。 「……またね」
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