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翌日の夕方。
私の部屋の前をうろつく男性を任意同行したという連絡がきた。
こんなに早く捕まるのなら、赤い封筒が届いた日に警察に足を運べばよかったとも思ったが、彼に対する悪意を示した写真があったからこそ、警察も危険性を感じ、動いてくれたのだろうと思い直す。
とりあえず、犯人が捕まった。
これで気味の悪い手紙と盗撮から解放される。
そう思い、安心した。
そう――
この時までは。
結論から言えば、捕まった人物は犯人ではなかった。
街で見知らぬ男に「この赤い封筒を届けるだけの簡単なバイトをしませんか?」と声を掛けられ、一回届けるだけで一万円という高額報酬に目がくらみ、怪しいとは分かっていながらも、つい請け負ってしまったらしい。
それだけではない。
写真に関しても、それぞれ画素数が違い、プリント紙も各々異なっていた。
指紋も勿論、バラバラ。
犯人を特定できるものは殆どない。
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