「またね」

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「アカリはボクと結婚するんでしょ?」  優しい声色で囁かれる台詞とは裏腹に、ともくんの目は笑っていなかった。  敏感に彼の異常さを感じ取った私は首を左右に振る事も、縦に頷くこともなく、ただ怯えていた。 「あんなに約束したのに……いつの間にアカリは悪い子になっちゃったんだろうねぇ? ずっと自由にさせていたのがいけなかったのかな?」  小さく小首を傾げて、口元に笑みを浮かべる彼の目は決して笑っていなかった。  その異様な表情は、今まで見たことが無く、不気味で恐怖を感じた。 「い、いやだ」  震える声で後ずさりする私を簡単に捕まえたともくんは、泣きじゃくる私を抱えて自分の部屋に連れていき、鍵を閉めた。  そこからは、泣いても叫んでも怒っても、彼は私を見てニヤニヤするだけ。  食事は部屋に運ばれてくるけれど、トイレはともくんの見ている前で犬用のトイレシートに排泄を強いられる。
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