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それまでの優しい幼馴染の思い出もあるからこそ、素直に両親を亡くした彼のこと心配し、葬儀の日にちが分かり次第連絡をくれるようにと言って電話を切った。
「もう、12年も経つのか……きっと、ともくんにも彼女が……ってあれ? 28歳なら結婚していてもおかしくない年だよね。もしかしたら、もう結婚してるのかな? あー……聞くの忘れたぁっ」
ブツブツ独り言を言いながらお風呂に入ろうと立ち上がった時、背後でカチャリと音が響いた。
冷たい空気が髪の毛を靡かせる。
鍵は帰宅した時もきちんと閉めているはず。
窓だって開いていない。
じゃぁ……この風は?
恐る恐る振り向くと、そこには背の高い男の姿があった。
「ひっ」
頬を引き攣らせた私に「久しぶりだね。アカリ。ボク達を引き離した邪魔者はもういないから。ようやく君をおヨメさんにしてあげられる」と、狂気に満ちた笑顔を向けた。
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