「またね」

8/25

50人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
 当日は、映画を観て、ランチして、ショッピングをして……と、彼と一緒にいる時は、ストーカーのことを忘れて幸せな時間を過ごしたのだが、帰宅すると、それは一変した。  またもや赤い封筒が郵便受けに入っていたのだ。  恐る恐る封を開ける。  中にはまたもや写真。  ゴクリと唾を飲み込んで取り出すと、そこには昼間、私と「彼」がランチをしている姿が写っていた。  しかも、「彼」の顔の部分には、赤いバツ印がつけてあり、「こいつ、ダレ?」というメモが…… 「いやっ!」  今までは、自分の写真と、「顔色悪いから心配」「笑顔が可愛いね」「無理するなよ」といった、他愛もないメッセージだけが書かれてあるだけで、何かが起きることは無かった。  そのせいか、毎度郵便受けに赤い封筒が入っていても、届いた当初の恐怖は徐々に薄らぎ、自分の身に何かが起きるわけがないとタカと括り、いつか飽きるだろうと呑気に構えていた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加