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5歳のお正月、私はどんな理由だったか覚えていないけど冬馬さんの前で泣いてしまっていた。
もしかしたら、少し眠かっただけなのかも、それとも行く前の母に怒られてしまったのかも、覚えていないということはさほど大したことじゃないんだろう。
それでも私は、泣いて泣いて、冬馬さんの膝を濡らしてしまっていた。
子供の泣き声なんて、不快の他になにものでもないはずなのに、冬馬さんは涼しい顔をして私が泣き止むまで頭を撫で続けてくれていた。
それが心地よくて、泣き疲れもあったせいか今度は眠気がやってくる。
ゆっくりと、瞼を閉じていく時に何かを言ってくれたような……
"大丈夫だよ、百合ちゃんの涙は全部受け止めてあげるからね"
その言葉を聞いて安心してしまい、私は親が来るまで眠ってしまっていた__
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