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結局帰りの新幹線も混んでいて、指定席はとれないし自由席もあいておらずドアの前で風景を眺めることになってしまった。
母さんの顔シワが増えてたな。父さんちょっと髪の毛薄かったな……
二人とも、年取ったな……
当たり前のことなのに、少し悲しくて目の奥が熱くなってしまった。
社会人として、か__
「よ、あけおめ」
年明けの休憩所に行くと先にいた吉田に声をかけられる。
「おう、あけおめ」
慣れた手つきで自販機で缶コーヒーを買う。
「で、実家はどうだったんだよ?」
「あー、まぁ、元気そうだったよ」
「親御さん喜んでたろ~?」
「あ? 普通だよ普通」
「嘘つけ、首元に引っかき傷があるぞ?」
そう言われて、首を抑えてしまう。
「引っかき傷がなんだよ?」
「お前、恥ずかしがるとすぐ首を掻く癖があるからな、喜ばれて恥ずかしかったんだろ?」
「なっ……うっせ、早く仕事に戻れ!」
「おー怖、じゃ先戻ってるわ」
そして、吉田は仕事へと戻って行く。
まだ開けていない缶を開けて一気に飲み干した。
ふと浮かぶのは帰ってきた時の嬉しそうな二人の顔と帰る時の心配する二人の顔
親孝行ね……
「まずは、結婚相手でも探すか……」
飲み干した缶をゴミ箱に捨てた__
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