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エス社長と秘書は新しい呪いの人形を見つけるために、全国を駆け回った。
人形が奉納されている寺や神社を中心に回り、小さな噂を聞きつけては現場に向った。
しかし髪が伸びる人形は全く見つからなかった。
ある日、病院の向かい側にある公園のベンチに座って2人で弁当を食べていると、エス社長がつぶやいた。
「我々で呪いの人形を作るしかないかもな」
「どうやってですか?」
「死にかけてる少女に人形を渡して、死んだ時に人形を回収するんだよ」エス社長はごはん粒のついた箸で病院を差した。
「協力してくれる人いますかね? そんな人でなしな案に」
「向こうにとってマイナスなことは何もないから大丈夫だろ。子供は人形をもらって喜ぶだろうし」
「でも死んだ女の子から人形を剥ぎ取ってくるのは、なんか怖いですよ。呪われそうで」
「呪われないと意味がないだろ」
「あ、そっか」
2人は人形を持って病院を訪れた。病室をいくつも回り、病状の進んでいる子供を探した。
ようやく見つけた女の子は不治の病に侵され、余命1週間と診断されていた。
この子にしよう。2人はそっと病室に入り、女の子に人形を手渡した。
「お嬢ちゃん、この人形をあげるよ」エス社長は作り笑顔で言った。
「なんで?」女の子はキョトンとした目で2人を見ていた。
「人形は嫌いかい?」
「好き」
「じゃあ、大事にしてあげて」
「うん。ありがとう」
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