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警備室への直通電話を取ると、焦った声で話す。
「会長が倒れました!至急ドクターヘリを屋上に呼んでください!」
10分ほど待つとヘリの音が聞こえてきた。会長室の机にあるスイッチを押すと、天井が開き、屋上に通じる階段が現れた。
やってきたヘリに会長を乗せる。当然だが、ヘリのパイロットも乗っている救急隊員も「組織」の一員だ。
15分ほどで病院へ到着し、会長が手術室に運び込まれるのを確認すると、女子トイレに向かう。そこには一人の女性が待っていた。
「お疲れ様でした。会長はどちらの薬を飲まれたのですか?」その女性、蒲田秘書が尋ねてきた。
「これからも一緒にお仕事をしたいとのことでしたよ」
「よかった・・・」
「これから裏の手配は組織が行いますので、葬儀なんかの表の手配はお任せしましたよ」
「わかりました、任せてください」
病院で蒲田秘書と入れ替わり、組織に報告と手配を済ませ、事務所に戻ったときには朝になっていた。某歓楽街にある私の事務所。入口の看板には「探偵事務所」と書かれていて、表向きは浮気調査から迷子のペット探しまでやる何でも屋だ。
寝る前に、リモコンの電源ボタンを押す。テレビがつき、ニュースが流れる。
「・・・墨田ホールディングスの墨田哲夫会長が亡くなりました。後任の会長には現社長の・・・」
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