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「今までの食生活を変えて、植物性のたんぱく質とか野菜、海藻類を積極的に取るようにしてくれ」
「えっ?」
何が起こっているのかすぐには理解できなかった。
「あ、あと、調味料と一緒に料理の本が入っている。これからの食事もそれを参考にしてくれ」
そう言うと、雅和はまたテレビに視線を向けてしまった。
紙袋の中に入れられた何冊かの本。
今まで作ったこともない料理の説明が書かれている。
テレビを見ている後ろ姿を眺め、その影にいる女性を想像した。
女性は雅和だけでなく、その妻である私さえも監視している、そんな風に思えて仕方がなかった。
ねっとりしたものが自分を囲ったようで、思わず何もついていない体を振り払う。
この女性は全てを奪っていく……。
自分が不利にならないよう、考えておいた方がいいのかもしれない。
不安のような、それでいて確信にも似た思いがはっきりと浮かんだ。
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