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仕事を終えて家に戻ると、部屋の中も外と同じくらい冷え込んでいる。
夕食の準備に取り掛かる前にファンヒーターとエアコンをつけた。
料理をしはじめると、熱気がこもってくる。
エアコンのリモコンの切ボタンを押したとき、ピピピと携帯電話の音が聞こえた。
携帯の画面を見ると、夫の雅和からだった。
「もしもし?」
「あ、紗枝子か。今日部長達と飲み会が入った」
「あ、はい。それで?」
「多分、飲み会の後、部長の家で飲み比べ会をやるしだろうし……。遅くなるから今日は帰らないと思う」
部長は昨年から禁酒したんじゃありませんでしたか、という余計な一言が出そうになった。
「……。分かりました」
電話が切られた後、呆れて小さな溜息が出す。
四十過ぎにもなって……。
三つ上の夫に対して腹立たしさよりも無気力感に襲われた。
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