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土曜日で仕事が休みなんだし、もっと遅くてもいいのに。
そんな思いを含めながら声をかけると、しょげたような顔でああ、と返してきた。
「ご飯は?」
「食べてきた」
合鍵は渡されなくても、朝食を作ってもらえたのか……。
女性の生真面目さや親密さが手に取るように分かる。
「その紙袋は?」
雅和は少しだけ誇らしげな顔をして、話し出した。
「いや、俺も四十を過ぎたし、そろそろ食生活を見直していこうと思って」
「食生活?」
何を突然言い出すのだろう。
「昨日、知り合いの人からいい調味料を紹介されて、買ってきた」
バチンと頬を叩かれたようで、一気に目が覚めた。
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