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「…悪かったな」
傷の手当てをしながら重い口を開いたセンセは、
「工藤を巻き込みたくなかったんだ」と苦虫を噛み潰した表情で言った。
「この世界は危なすぎる。今ならまだ引き返せる。俺とは離婚したことにして―――」
「しない」
「何言ってる、階段から突き落とされて死ぬところだったろが!」
わたしはセンセのおじいちゃんと約束した。
笑ってほしいって。
そばにいるって。
どんな時もふたりで乗り越えてくんだって思ってる。
「センセが戦ってるのに、わたしが逃げ出すことしたくないもん」
「…工藤」
センセは驚いてわたしを見つめそしてため息をついた。
「そうだよな。おまえは何でも前向きだったな。体育祭じゃ負ける相手とわかってても全力で勝負したし、学園祭は苦手なお化けもこなしてた。俺ともちゃんと向き合ってる」
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