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見ててくれてたんだ。
ちゃんとみんなのこと、わたしのこと…
「でもこれで、俺も腹が据わった。おまえが逃げ出さないっていうんなら俺も全力で守る」
「センセ…」
メガネの奥が光った。
意志の強い目がわたしをみつめて少しだけ笑った。
「おまえには敵わないな。いつだって俺の想像をはるかに越えてく」
手当てが終わるとセンセは自分の取り巻く人間関係を説明してくれた。
ようするに、それ相応の組のお嬢さんを嫁に迎えるのが常識だったけれど、おじいちゃんはわたしを選んだので周りが納得いかなかった。
それで、おじいちゃんの気まぐれで結婚したばかりの今ならばわたしを葬れば、七代目妻の座を奪いやすくなると。
「こんな危険な世界には工藤を置いておきたくなかったのに」
だから追い出したかったのに。と、ため息を吐いた。
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