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おじいちゃんは、屋敷に戻る車の中で孫の話をしてくれた。
「息子夫婦が事故でこの世を去ってから、笑いもしない子に育ってな。儂にとってはたったひとりの身内だ、幸せにしてやりたいんじゃ」
「…それが、わたしとの結婚?」
一億を出してまで?
不思議に思っておじいちゃんを見ると苦笑した。
「…あの男は金が返せる額ではないと知っていた。他人に迷惑がかからないようにとすべてを精算する気であったろう。儂は数少ない友達をみすみすなくしたくないのでな」
納得した。
父のことはそうだと思う。
他人に迷惑をかけるくらいなら。と考える人だった。
「それにのう、儂はあんたを気に入っておる。これは儂の勘じゃが孫はあんたをきっと……着いたぞ。ここが儂の家だ」
車のドアがお付きの人に開けられ、降りたところは―――
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