『若恋』恋物語

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ええーっ!! 和服を着た男女が居並ぶ日本家屋の前だった。 「六代目、おかえりなさいまし。大広間にはみな顔を揃えております」 「そうか、わかった」 近寄ってきた壮年の男性が、おじいちゃんを見て、後ろに立ったわたしに頭を下げた。 「工藤寿美さま、すべて用意は整っております。お召し替えを」 え?と、思うまもなく、おじいちゃんの目配せで、年配の女性たちに取り囲まれてお屋敷の中に連れ込まれた。 「お、おじいちゃん!?」 「孫との対面じゃ、美しく着飾っておいで」 えっ、そんな! ちょっと待って! 何がなんだかわからないままお屋敷に引き摺られてく。 いったい、どういうこと!? 「お、おじいちゃん!!」 孫との対面があるとおじいちゃんは言った。 運命の扉が音を立てて開いたような気がした―――
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