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「…絢也くん」
「聞いたぜ。水神若宮と見合いだってな?」
ワイシャツ一枚胸をはだけさせて窓際にイケメンがタバコを吸って立っていた。
男子禁制の女子寮でこの寛ぐ姿から嘘みたいな話だけど、絢也くんは世が世なら大名家のお殿様。
この学校の生徒会長で、おまけに男子寮長で品行方正、先生たちにも絶対の信頼があって女子みんなの憧れの的。
タバコの匂いに混じって甘ったるい香りがした。
「もしかして昨夜は女子寮長のところだったの?」
「あたり。それと一年生のとこ」
「あきれた」
自慢そうに言わないでよ。
みんなあなたの外面に騙されてて可哀想。
「俺はみんなに優しいんだ」
ニッ、口の端をあげて笑った。
ほんと、二重人格。
どうしてみんな騙されるのか不思議だけど。
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