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前髪から水が滴る。
震える龍琉の手から玲央がりんを片手で抱き取り、もう片方の手で龍琉の腕を掴んで引っ張りあげた。
冷たい池の水。
濡れてもなお屈託なく笑って、龍琉は幼いりんの額をデコピンした。
ちびが水に落ちなくてよかったなと…
玲央の腕にいてキャッキャッと騒ぐりんの元に歩くと気づいて手を広げた。
玲央からりんを抱き取ると龍琉に向き直る。
躊躇なく池に飛び込んだ。
それはりんじゃなくてもきっと飛び込んだだろう。
「…ありがとう、助かった」
礼を言うと龍琉が笑った。
いつの間にかいい男に成長していた。
子供だ子供だと思ってたが、弱い者を守れるようになっていた。
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